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トピックスitiran

論 調  業界挙げて防がなければならないドライバーへの感染と感染拡大!(2020/04/05)


新型コロナの蔓延で「ダブルパンチ」懸念されるトラック運送業界!


 フリージャーナリスト・本紙関東総局長=延寿寺幸次郎


政府が、感染症の専門家で構成される「新型コロナウイルス感染症問題対策会議」を設置したのは、中国・武漢での「同感染症問題」が浮上した2月早々であった。その後、「同専門家会議」は、日本国内に感染が拡大するか否かは、何と「ここ1~2週間が山場」と言明した。これを受けて、安倍首相は、小中高校の「春休み」までの「全面休校」を決めた。この「全面休校」でも、多くの問題が惹起(じゃっき)されたが、これに呼応したかのように、「公的施設の閉鎖」や「イベントの中止」が相次ぎ、「東京オリンピック2020」についても、1年延期となった。
 これと同時に、日本感染症学会の舘田一博理事長は、3月中旬の段階で、「この問題は、数か月から半年、越年して戦い続けなければならない」と述べている。「半年」となると「9月」、「来年」にならなければ、終息しない見通しも出ている状況である。

◆業界挙げ、我が国の「ライフライン」であるトラック運送業のドライバーへの感染と感染拡大を防げ!

 すでに、バス業界、とりわけ、観光バス業界では、「同ウイルス感染」を懸念して、キャンセルが相次ぎ、ドライバーの解雇や事業自体の廃業を決めた事業所もある位である。
「トラック運送事業」は、物流業の事業分野別営業収入は、約16兆円で、他の物流業分野を大きく引き離し、断トツとなっている。 
 そして、この「トラック運送事業」の就業者数は、「193万人」、この内、ドライバーは「86万人」となっている。ここで、触れておかなければならないのは、全業界で「15~20万人」のドラ―バ―が不足しているのである。
このような中で、とりわけ、ドライバーに「コロナウイルス感染」が拡大してしまうと、我が国の経済、我が国の産業、国民のライフラインが、崩壊してしまうのである。
 だから、(公社)全日本トラック協会(坂本克己会長)は、むろん個々の事業所挙げて、「新型コロナウイルス」の業界、とりわけ、ドライバーへの感染拡大を、何としても、防がなければならないのである。
 このような状況を重く見た国土交通省は、全日本トラック協会の協力を得て、3月13日を締め切りとして、緊急アンケート調査を行った。
 この調査は、「新型コロナウイルスの影響」による全ト協会員事業者の経営状況等について把握し、今後の対策策定のための情報にしようというのが、目的である。
今回の「調査項目の概要」は、左記の「8項目」となっている。
 ⓵令和2年1月~3月までの各月について、「運送収入(万円)」と「輸送トン数」の実績と前年同月の状況
 ➁令和2年1月~3月までの各月について、荷主からキャンセルされた「金額(万円)」と「輸送量(トン数)」
 ⓷資金繰りで困っている状況について
 ⓸雇用状況について対応したこと
 ⓹トラック業界として国に要望すべき経済対策について
 ⓺主に取り扱っている品目(荷種)について
 ⓻保有車両数について
 ⓼回答事業者情報

◆日本経済後退の影響が不可避のトラック運送業界!

 全国のトラック運送事業者6万3000社は、日本経済、産業界、国民の「動脈=ライフライン」として、日々、農水産品、林産品、金属機械工業品、化学工業品、軽工業品、雑工業品――等を、年間43億8100万トン、昼夜を問わず、運んでいる。
これは、トンベースで、総量の91.5%に当たるのである。つまり、我が国の貨物輸送は、トラック運送業界が、ほぼ、全面的に担っていると言っても、過言では無い。
ところが、「新型コロナウイルス問題」は、世界経済に大打撃を与え、わが国も、その渦中にあるのである。
 先月13日の東京株式市場は、「新型コロナウイルス感染症拡大」による経済危機が懸念され、日経平均株価(225種)は、暴落した。
 下げ幅は、一時1800円を超え、バブル経済末期の1990年4月以来、約30年ぶりの大きさとなった。
 平均株価は、2016年11月以来、約3年4ヵ月ぶりに、1万7000円を割り込んだ。
因みに、米ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、前日比の下落率が、約1割となった。
 これは、1987年10月の大暴落「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」以来、32年5カ月ぶりの大きさであった。
 株価が暴落すれば、企業の資金調達力が、大幅に低下し、減産のみならず、雇用面でも、大きな影響が、顕在化することになる。
 我が国産業構造の大きな特徴は、「多重的下請構造」であるから、今回の、株価暴落は、直接・間接的に、トラック運送事業者に、ドミノ的なしわ寄せを覚悟せねばなるまい。

◆結びに代えて

 今年1月に、中国・武漢市で「新型コロナウイルス」が発生し、これが、我が国の感染拡大になると、一体、誰が、想像し得たであろうか?
かくなる上で、敢えて提言をしておきたい。
 一点目は、「最悪の事態を想定して」、自社の「経営資源(人、カネ、物、時間、情報)の見直し」を行うこと、二点目は、早急に、自社の荷主、元請事業者と「緊急対策」について、協議してほしい――ということである。
「重大事案」を解決するための「王道」など、無いのである。