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美鈴急送、うなぎ店を買収   定年退職社員の受け皿に(2025/12/30)


1年の修業経て開店

 2012年3月創業の㈱美鈴急送(鈴木利紀也社長、三重県津市)は148台のトラックを保有。大型冷凍車50台。ウィング車35台、トレーラー63台で事業展開するが、同社は一昨年うなぎ店を買収し、体制を整え昨年4月から店を新たにオープンさせた。

 同社は冷凍・冷蔵食品の輸送が出発点。冷凍車の仕事は手積み手下ろし作業が中心。しかし、年齢とともに体がしんどくなり、腰も悪くなるドライバーが少なくない。そのため同社ではウィング車を導入し、パレット積みパレット下ろしの仕事も行うようになった。
また、長距離は走らず、高めの給料を確保したいというドライバーのために海上コンテナトレーラーを保有し、新たな仕事をとってくるといった、ドライバーの意向に沿って仕事の確保を行う。
 うなぎ店の買収もドライバーの意向に沿ったものになる。鈴木社長はお昼ご飯に「つたや」といううなぎ店に常連客として食べに行っていた。明治8年創業のつたやは30年来の行きつけのお店だ。津市民にとってうなぎは丑の日などの特別な食べ物ではなく、月に一度は食べるほどうなぎ文化が根付いている。
 2年前の10月、鈴木社長がいつものようにつたやを訪ねた時のこと。当時72歳のなじみの大将は体調を崩し、入退院を繰り返していたが、突然、「お前(鈴木社長)に相談したい」と話しかけてきた。
 話を聞くと、後継者がおらず、店を手放したく、M&A会社に売却をお願いしているとのこと。候補先が3社あるが、どこも店を壊して駐車場かビルを建てるかで、うなぎ屋として残す意思がなく、おやじさんは、店を残したい意向だった。 

 話の雰囲気から「俺に買え」といっていると察した鈴木社長は、「わかった。俺が買う」と応えた。身内の人全員の同意を取り付けること、また、美鈴急送の社員を2年修業させてもらうという条件で、買収は成立した。
 うなぎ店の運営は簡単ではない。まず串打ち。仕入れるうなぎは日々、硬さ、脂の乗りが異なり、毎日同じように串が入らない。うなぎに波が出たらきれいに焼けない。串打ちで焼きに差が出るのだ。
 炭火でじっくり小骨がとけるくらいに焼く。炭の位置、炭の温度でも焼きが変わる。炭も湿気を含み、その日、その日で違う。もちろんどこの炭を使うかでも差が出る。
修業では、さばき、串打ち、焼き、たれづくりを学んだ。修業は当初2年だったが、1年に短縮となり、昨年4月に再スタートすることとなった。
 美鈴急送が事業を引き継ぐまではお客さんは入ってなかったが、再スタート後、お客さんの入りが徐々に回復し、今ではお昼時には満席になることもある。
 1階35席、2階55席の計90席を現在、美鈴急送を定年退職し、修業した元社員が店長となり、また、同社の社員2名が後から入社し、一般募集で1名。社員計4人、パート10人で切り盛りしている。

 「運送もうなぎ店もやるといったらやる。とことんやる」という鈴木社長はつたやで一通りの作業を習得。手伝いに行くこともある。
 鈴木社長は、「つたやの味と歴史を買ったが、従業員の雇用の受け皿を作ることにもなり、ありがたい。弊社は60歳が定年。従業員はせっかく縁があってうちに来てくれたのに定年が来て、『では、さようなら』では寂しい。今の時代、退職しても不安しかない。最終的に選ぶのは本人だが、会社として選択肢を作っておくことは必要なことと考えている」と話している。(12月15日号)

【写真】リニューアルオープンした、うなぎ店「つたや」