本文へスキップ

電話でのお問い合わせは072-882-6258

〒571-0079 大阪府門真市野里町31-15

クローズアップitiran

身だしなみ どこまで許される? 「露出しなければタトゥーOK」(2025/11/05)


アサヒロジ10月から身だしなみ緩和

 近年、多様性を重視する流れや採用の観点から、身だしなみについて自由化にする会社が増えている。運送業界においても規制を緩和を進める会社が出てきている。ドライバー2700人超、1700台のトラックを保有する食品物流大手のアサヒロジスティクス㈱(埼玉県)は10月1日から、社員の身だしなみルールを緩和した。

内容は次の通り。
① 髪色の自由化    職場環境や顧客に不快感を与えない色とする。
② 髪型の自由化 清潔感を損なわないよう配慮し、長髪は結ぶこととし、前髪は目にかからないようにする。
③ 運転時サングラス着用可第 三者から目が見える、薄い色のレンズを使用することを基本とする。
以前は髪色について、日本ヘアカラー協会が定めるレベルスケール(数字が大きいほど明るい)10以下としていたが、12以下とした。また、髪型についても男女それぞれで指定していたが、それも撤廃した。
 サングラスについては、昨今の強い紫外線からドライバーの目を保護するための施策だ。今のところ、荷主や従業員から特に反対意見や問い合わせなどは来ていない。
同社の担当者は、「一部拠点から、『髪色・髪型の規則が厳しすぎて、採用においてチャンスロスになっている。他社に流れてしまっている』という意見があり、制度を見直した。自由度を高くして、選ばれやすい企業にならなければならないと考えた。新規採用だけではなく、既存の従業員も個性を発揮しやすくなって、働きやすさにつながる」と話している。

 ただし、全て自由になったわけではなく、同社では正社員・パート・アルバイト問わず入社した全員が受ける研修では次のように規定する。
①刺青(タトゥー)は許容できない。
②ヒゲは許容できない。食品を取り扱うため、清潔感を表現。
③商品を扱う業務に就く際は、異物混入やケガ、商品に傷をつけることを防ぐため、装飾品の着用を避ける。
 他社ではどうなのか。どこまで許されるのか聞いてみた。
同じく食品をメインとして扱い、トラックを40台以上を保有する運送会社の社長は、「ヒゲは一番ドライバーともめるところ。運転している時はうるさく言えないが、工場に入る時は必ずマスクを着用するように言っている。
 夏場の半袖短パンも困るところで、食品への異物混入を防ぐために、アンダーウェアを着ていれば大丈夫ということにしている」と話す。 
 同社では、就業規則で身だしなみに関する規定(鼻毛や頭髪など)を15項目以上設けている。それでも、「実際にあまりうるさくしすぎると、人が来ないから」と苦労もにじませていた。

 刺青やヒゲ、装飾品についてある程度寛容な姿勢を見せる運送会社もある。
愛知県のある運送会社では、作業着着用時に露出する部位でなければ、タトゥー・刺青OKとしている。清潔感があり巻き込みの心配がなければヒゲもOK、揺れないピアスもOKとしている。
 関西でホテルなどへの配送を手掛ける運送会社の採用担当者はは、「特に身だしなみに関する規則はないが、取引先は大手が多いので、明らかな金髪は目立たないよう手直しさせるなどの対応を取っている。サングラスは、安全運転をするための必須アイテムだと思うので、形状や色問わず着用OKにしている。刺青は、半そでのシャツから見えている方は申し訳ないが採用できない」と話す。
 就職情報サイトを運営するマイナビが今年3月に行った「アルバイトの服装・身だしなみ調査レポート」によると、学生の3人に2人が「服装・身だしなみの自由」に賛成している。また、3割以上が「身だしなみが理由で応募を辞退した経験がある」と答えている。(11月3日号)