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「新車導入しても走らせられない」 車止めたまま月80万円の支払い(2025/08/13)
トレーラー 通行許可に1~3か月
今年1月に大型トレーラーを導入した運送会社。
「新たなトレーラーを導入したが、通行許可が下りるまでにだいたい1か月半。3か月かかるときもある。特殊なトレーラーのため毎月80万円近くのお金を、車を止めたまま支払わなければならない。車を動かせないのは大きな損失。せめてナンバープレートがついて型式が確定した段階で、すぐに許可申請を受け付けてほしい」
道路の通行許可が出るのを待つ間、トレーラーを走らせることができず、その間リース代金を支払うことに疑問を感じている。
幅2・5m、長さ12m、高さ3・8m・総重量20トン・軸重10トンなどの制限を超える車を道路で走らせるには、「特殊車両通行許可」が必要だ。道路を損傷させるおそれがある場合に必要とされる制度で、出発地から目的地までの道路管理者に事前に許可を得なければならない。
経路が国道だけでなく県道や市道も含まれる場合、県や市の道路管理者も審査を行う。審査を経て、許可が出されるが、その許可が1~3か月を要するケースが多く、許可の迅速化を求める声は少なくない。
通行許可申請に詳しいベストサポート行政書士法人の髙濱昌次氏は、「申請の遅延はどの運送会社にも共通する問題。原因は単純に『人手不足』と『申請数の多さ』。特に近年はコンプライアンス意識が高まり、『許可を取らなければ業務を任せられない』という荷主企業が増えた結果、許可申請が一気に増加した」と説明する。
また、「一人で一日何百件も審査できるわけではなく、混雑している地域ではどうしても遅くなる。制度に即した形で準備し、計画的に取り組むしかない」と現場への理解と順応の必要性を強調する。
国土交通省では「特殊車両通行確認制度」と「オンライン申請システム」を設け、許可申請の効率化を図っている。
これはインターネット経由でトレーラーの通行許可の申請や確認ができるというもの。国交省が令和4年から始めている。国交省が各地の道路管理者と連携して集めたデータから、トレーラーが通行可能な道路を公開している。その範囲内の申請であれば、即日で許可が出る。
利用するには「車両の登録を済ませる」「ETC2・0を車両に導入する」の2つの条件を満たす必要があるが、通行可能な道路については、国土交通省の「特車ポータルサイト」の「収録道路見える化マップ」で確認できる。
ある運送会社は「うちでは、オンラインの申請システムを導入している。これによって1か月ほどで運行許可が下りるようになった」と話すが、結局、収録されてないところが多いため1か月はかかるという。
長年トレーラーを扱ってきた運送会社社長は異なる見方をする。
「そもそもトレーラーは大型トラックの延長線という認識でとらえている人も多いが、それは誤り。日本の道路はトレーラーのサイズや重量が走るようにはできていない。本来、道路を走ってはいけない車両を、国にあらかじめ申請することで、特例的に走ることが許可されている。その重大さを考えるとトレーラーは年単位で運行計画を立てるもので、一概に『トレーラーの通行許可が遅い』とは言えない」
トレーラーの効率的な運用は難しいものとなっている。(8月4日号)