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待機時間は減っているのか? 「待機」が「休憩」になっているだけの声(2025/07/27)


 清涼飲料メーカー5社が、2024年問題を改善するための活動を報告したが、その中で、トラックドライバーの待機時間削減の取り組みについては、予約システムを導入し、5社合計で平均約40%削減できたとしている。2024年問題解決のツールとして予約システムを導入し、待機時間の削減につなげる動きがあるが、一部の運送会社からは、「予約システムは名ばかりで、待機が休憩になっているだけ」という声が上がっている。一体どういうことなのか。

 その運送会社によると、今年から荷主が予約システムを導入したが、その仕組みは、各運送会社のトラックが荷主の受付に出向き、そこで予約システムを使って荷降ろしの手続きを行う。荷降ろしまでの時間は荷主構内ではなく、構内の外の路上で待機し、運転手は携帯電話に連絡が入ると、トラックを構内に入れていく。待ち時間は長時間に及ぶこともあるという。
 トラック予約システムは、トラックの到着時間を事前に予約することで、待機時間や混雑の解消に役立てるシステムだ。ドライバーや運送会社の担当者がスマートフォンや専用端末を使い、物流センター到着の予約を行い、その後、物流センターの担当者から荷降ろし場の空き状況を見て荷降ろし場が割り当てられる。これにより、ドライバーの待機時間が短縮されるというのがそもそもの使い方である。

 ところが、残業規制が適用された2024年以降もトラック予約システムの本来の使い方が行われず、荷待ちが発生しているという声が聞かれる。
 トレーラーを持つある運送会社では、「予約システムを通じて『〇〇時に来てくれ』の指示。小さい工場では待機場所がないため路上駐車するしかない。早く来てもダメ。遅くてもダメ。待つところがない。近隣に迷惑がかからないようにトラックを止める。順番が来たら携帯電話に連絡が入り、『来てください』と呼ばれて行く。
 構内で待ってたら待機。よそで待っててたら休憩扱い。コンビニに行こうとしても2トン車4トン車なら止められるが、トレーラーは止められない。だから路上駐車になる。10分以内に構内に入れるようなところで待つが常に警察の取締りにひやひやする。『見た目』はきれい。倉庫前は車が並んでいないが・・」と説明する。
 別の運送会社では、「デジタコで外で待ってるときは『休憩』、構内では『待機』と運転手に指示を出しているところもある。『待機が減りましたよ』ということになっているが、実際はどうなのか。路上駐車ができないからずっと走っていることもある。
 外で待ってようが、中で待ってようが、拘束している時間は同じ。外で待ってくれ、になっただけではないか。発荷主と着荷主が連携をとって『何時に荷物を持って来い』ならいい。予約システムは運転手にしわよせきている。トラックGメンは検証して欲しい」と話していた。

 労働基準監督署の話では、「近隣での路上駐車はやめていただきたい。労働基準監督署では構内は待機、外は休憩の認識。責任は元々荷主にある。こういう場合は、下請け法に基づく通報制度を利用して頂きたい。国からの通報で改善していただく」と説明している。(7月21日号)

【写真】本当に「待機時間」は減っているのか・・