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メタンガスでトラック走行   エコトラック  (2025/07/20)


下水処理場で発生したメタンガスを燃料に 

 所有する車両全てがエコ車両という運送会社、エコトラック㈱(池田雅信社長、大阪府門真市)は、新たに下水処理場で発生したメタンガスを燃料にしてトラックを走らせる取り組みを大手家電メーカーや神戸市と共同で進めている。


 エコトラックはグループで所有する車両約100台全てが天然ガス車やハイブリッド車といったエコ車両である。2022年には新たに液化天然ガスを燃料とするLNG車両を2台、全国で初めて導入している。
 同社は市場に出回っているエコ車両の全車種を購入し、実際に運用している。自社での運用実績を通して「エコ車両でも運送業は成り立つ」ということを証明した。創業以来一度も前年実績を下回っていないという右肩上がりの成長がそれを示している。
 こういったエコトラックの取り組みは非常に高く評価され、これまで国や地方自治体などから多くの表彰を受けてきた。
 そんな同社が今回取り組んでいるのは、神戸市内の下水処理場で発生したメタンガスを精製・圧縮して作られた「バイオメタン」を、圧縮天然ガス(CNG)車両の燃料として活用し、運送に使うというもの。
 神戸市の下水処理場では、毎日約4000世帯分のエネルギーに相当するメタンガスが発生している。メタンガスはCO2の約25倍もの温室効果を持っており、そのまま大気に排出することはできない。そのため、これまでは発電用に使われたり、下水処理場内で燃焼処理されることが多かった。

 今回、そのメタンガスを燃料化し、圧縮してトラックに供給することで、再生可能エネルギーとして再利用する。天然ガスと成分は同じなため、CNG車の燃料としてそのまま利用でき、特別なメンテナンスや改修は必要としない。
燃料費も従来の天然ガスと同等。しかも下水由来のメタンガスは、燃焼してもCO2排出量は“ゼロ”として扱われる。これはカーボンニュートラル(排出される温室効果ガスを人為的に吸収し、実質的に排出量をゼロにすること)の考えからで、新たに排出されたCO2として扱われない。
 これにより1台あたり年間40tものCO2排出量を削減できる試算になる。バイオメタンを活用した車両は大手家電メーカーの荷物の輸送で神戸―京都間で使用されている。
同メーカーはサプライチェーン(原材料の調達から販売に至るまでの流れ)で発生する温室効果ガスの排出量を、2030年度までに2021度比で半減することを目標としている。
 しかし車両をCNG車やハイブリッドに置き換えるだけでは達成が困難であるため、エコ車の第一人者である池田氏に協力を打診した。

 池田氏はメーカーの工場が淡路島に複数あることに着目し、「神戸の東灘処理場で精製されているバイオメタンをCNG車の燃料に活用すれば、その車両のCO2排出量を0にできる」と提案。パナエナジーと神戸市の間を取り持ち、今回の取組が実現した。
 池田氏は、「国やメーカーではエコ車両の特性や課題を把握しきることは難しく、現場の声を必要としている。自社はその役割を担ってきた。これまでの自社の取り組みが評価されたことで、その道の第一人者として国や大手メーカーから相談を受けることも多くなった。エコカーの普及のためならどんなことでも協力する」と話している。(7月21日号)

【写真】メタンガスで走るトラックと池田氏