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「しゃれた名前だが非常に不衛生」 「黄金のペットボトル」不法投棄問題(2025/07/09)


PA・SA・IC・TSなど全国で相次ぐ

 近年、「黄金のペットボトル」が問題となっている。黄金のペットボトルとは、尿入りのペットボトルを指し、トラックドライバーが車内でペットボトルに用を足し、それを道路に投棄するというものだ。特にSAやPA、インターチェンジ(IC)付近で数多く投棄されており、ゴミのポイ捨て自体が不法投棄にあたるが、業界全体のイメージダウンにつながる可能性がある。

 NEXCO中日本と岐阜県トラック協会は5月8日、名神高速養老SAで清掃活動を実施。37名が参加したが、回収されたゴミはゴミ袋にして70袋になり、黄金のペットボトルも多数回収された。  
 また、NEXCO中日本は愛知県トラック協会と5月13日に尾張一宮PAと小牧ICにおいて清掃活動を行った。73人が参加したが、同じく70袋のゴミが回収され、やはり多くの黄金のペットボトルが回収された。
 NEXCO中日本が両トラック協会と清掃活動を行うのは昨年に続き2回目。昨年5月に岐阜県トラック協会と行った養老SAでの清掃活動では、黄金のペットボトルが2時間で数百本も見つかった。
 NEXCO中日本は、「ポイ捨てはSA、PAの入り口・出口付近、ICでも草が生えているところでポイ捨てされるケースが多い。監視カメラの映像ではIC付近でトラックドライバーが走りながら、弁当の空箱や黄金のペットボトルを投棄する映像が多数確認されている」と話す。

 SAやPAといった休憩施設にはゴミ箱が設置されてあるが、ゴミ箱に捨てないのはなぜなのか。
 NEXCO中日本によると、SAやPAの休憩施設は、乗用車といった小型の車の駐車スペースは施設に近く、大型トラックやトレーラーといった大きい車両になるほど駐車スペースが施設から遠ざかって作られている。
 つまり、トラックドライバーにとってゴミを捨てに行くまでの距離が長いということになり、ポイ捨ての一因と見られる。
 全国のトラックステーション(TS)でもポイ捨ては多い。大阪TSでは、「黄金のペットボトル専用捨て場」を施設外のトイレの横に設けている。看板にはシンク内にペットボトルの尿を流し、蛇口でペットボトルをすすぎ、ペットボトルをゴミ箱に捨てるよう案内がされている。
 施設内のトイレにも専用捨て場の案内掲示がされており、利用者への周知を徹底している。しかし、実際に取材で同TSを訪れた際に確認したところ、専用捨て場の脇の草むらに複数のペットボトルが投棄されていた。

 三重県トラック協会伊賀支部では、道の駅「いが」で毎月清掃活動を行っているが、山本貞夫支部長は、「『黄金のペットボトル』なんてしゃれた名前で呼ばれているが、実際は非常に不衛生で問題のある行為。根本にあるのはモラルの問題。『ゴミをポイ捨てするな』と言われて、『やっぱりポイ捨ては良くない』と思ってくれるドライバーもいれば、『そんなの関係ない』とゴミを捨てるドライバーもいる。ひたすら草の根活動でドライバー達にポイ捨てはしないように訴えていくしかない」と話していた。
 運送会社に黄金のペットボトルについて話を伺ったが、実は多く聞かれたのが、「うちのドライバーに限ってはやっていないと思う」という声だった。
「黄金のペットボトル」の背景にはドライバーの労働環境の問題を指摘する声があるのも確かだ。
 コンプライアンス強化により、430休憩にしてもSA・PAでトラックが満車になっているケースも多く、駐車自体できないことも背景にある。
 また、頻尿は加齢と共に増加していく傾向があるため、ドライバー全体の高齢化の事情も関わっていると考えられる。(7月7日号)

【写真】「黄金のペットボトル」専用捨て場の表示(大阪TS)