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厚労省ナンバー2に業界の窮状訴え  三重ト協・山本理事(2025/04/13)


働き方改革など疑問点投げかける

 三重県トラック協会の山本貞夫理事(伊賀支部長、三栄運輸㈱)は、1月29日に厚生労働省審議官・田中誠二氏に働き方改革について業界の窮状を訴えた。
田中氏は厚労省官僚 のナンバー2。山本氏とは昔からの知り合いで、「トラック運送の現状を知りたい」と大臣官房室で話を聞いた。山本氏は東京へ行く前に三重ト協の理事会で説明し、理事からの声も集め、90分にわたり説明した。

 山本氏は、働き方改革について「1日15時間超えの問題や1か月の労働時間制限など一応の理解はできますが、これは15年来の過労死問題から持ち上がっていると理解します。
しかし、我々の労働集約産業的な業態には少々無理なことがあると思います」と述べた。
 田中氏は、それに対し「時間軸で規制することは問題ありと承知はしています。各地の労基や労働局からは昨年9月以来、種々報告が上がってきています。その中には『机の上で考えて何でも一くくりに時間規制をするのは業界を知らなさすぎだ』という言葉や『俺たちはもっと働きたいのに、過重労働とは有難迷惑だ』『馬鹿馬じゃないか。体調が危険な状態なのか自分でわかるよ』といろいろ来ています。 
厚労省はもとより国交省、経産省三位一体で研究しなければの思いです」と返答した。

 また、山本氏は高速道路の通行割引制度について、「4時間運転30分休憩、8時間休息は実際問題難しい。高速道路のPA・SAは常時満車状態で駐車スペースがありません。これは昼夜問いません。ネクスコの方は重々ご承知でしょう。それで、通行料金制度について時間枠の変更で対応しても何も変わりません。時間内通行のみ割引対象だからです。終日割引通行にして頂ければ問題ありません。ぜひ厚労省からも働きかけお願いします」と訴えた。
 田中氏は、「4時間後の休憩ルールですが、高速道路PA・SAの駐車枠は不足です。これも各地労基から大変多く報告が寄せられて承知しています。夜間深夜にトラックが集中することも承知しています。
そしてここにきてネクスコの通行時間規制は問題ありと思います。時間枠を拡大しても何ら解決にはならないだろうと思います。この時間内に走った分だけ割引をするのは何か意味があるのかとの思いです」と山本氏の意見に理解を示した。
 山本氏は運転免許の問題にも触れ、「普通免許から大型まで取得すれば、ざっと100万円かかります。中型免許、大型免許取得にわたしども運送会社は取得支援をしていますが、日にちと費用が掛かり過ぎます。果たして中型免許を入れて事故は減ったのでしょうか。事故は簡単に乗務させる我々事業者が悪いのです。教育期間を設けて上達させれば良いのです。そのような法令義務を出せば良いのです」と解決策を打診した。

 田中氏は、「そんなにお金がかかるということを今聞いて初めてわかりました。中型免許ってなぜいるのかと思ってましたが、確かに事業者に対し法制度を設け各事業者にしっかりした教育制度を設ければ済みます」と返した。
 山本氏は、面談を終え、「運賃交渉の件ですが標準的な運賃は事業者の7割が提示すらできていません。交渉できて回答をもらって現行運賃の平均値12%アップくらいです。それでは物価上昇の方が超えています。  
また、都市部近郊の運送会社で日帰り配送が主流な業務のところで、離職が出てきているとのことです。なぜか。時間給から換算しても工場勤めの方がいいとのことです。地域により状況は違いますが、会社として社員の離職を止めなければならず、各社で魅力ある職場、会社を目指して努力してますが、このような状況ですと申し上げました」と話していた。(4月7日号)

【写真】厚生労働省審議官・田中氏に思いを話した山本氏