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九州で運送の人材流出が加速か(2023/12/20)


24問題前にドライバーが工場に転職


 九州では、台湾の半導体メーカーが工場建設を進めるなど、工場の進出が盛んになっている。日本政策投資銀行が今年8月に公表した「2023年度設備投資計画調査」によると、九州の投資額の伸びは全国9つの地域中トップだった。そのような中、大分県の運送会社の会長から次のような話を聞いた。


 「2024年問題を前にして最近、下請けや協力会社のドライバーが工場の仕事に転職するケースが増え、ドライバー不足に拍車がかかっている。製造業の仕事は比較的勤務時間が短く、休日も取りやすい。その上、運送業と比べて給料も高いから、とくに若い人には魅力的な仕事に見えるのかもしれない」
 厚生労働省がまとめている「賃金構造基本統計調査」を見ても、昨年度の製造業の平均賃金(月30万1500円)は運送業(月28万5400円)よりも約1万6000円高い。
福岡県の運送会社の支店長は、「うちも同業他社に比べて(給与や待遇面などで)魅力的な求人を出しているつもりだが、製造業の求人はそれを上回っている。 
 製造業の求人の中には、夜勤や休日出勤込みの給与表示や、補助上限を超えた分の寮費や食費は給与から天引きされるなど、必ずしも素晴らしいとは言えないものもあるが、とにかく、若い優秀な働き手は奪い合いの状況になっており、何が何でも働き手を集めたいという、製造業の強い意志は感じられる」と話す。

 ドライバーの人材不足は、給与の減少だけが理由ではないという声も聞かれる。
京都府の運送会社の部長は、「昔はドライバーに月50~60万の給与を支給していれば、よそに取られることなどないと思っていた。しかし、最近は『不規則な仕事で50~60万稼ぐよりも、手取りで月25万程度稼げて土日に休みが取れる仕事の方が良い』と考える人が増え、運送業のような残業ありきで稼ぐ仕事は敬遠されている。
 そうした考えに合わせて会社の賃金体系も変えないといけないのだろうが、物価高騰で設備投資に余計に金がかかるようになり、燃料費の高止まりなどで利益も目減りする中、さらに賃金も手厚くしていくというのは正直簡単ではない」と話す。(12月18日号)